3.矯正治療の目的とその目標-1

3.矯正治療の目的とその目標-1

矯正治療の目的がどこにあるかは、不正咬合であっては現在どのような不都合があり、どのようになることが望ましいかを考えることによってひき出されます。不正咬合によってもたらされるであろう生理学的ならびに心理学的の障害には次のようなものがあげられます。そして咬合の改善によってこれらの障害を取り除くことが矯正治療の目的ですが、患者さんの健康に寄与していくためには、到達すべき目標が示される必要があります。

1.不正咬合によってもたらされる障害について

1)カリエス発生の誘因となる

カリエスの発生には多くの要因が関係しています。咀嚼時の食物による歯面の摩擦や唾液の流出が口腔の自浄作用に働きかけ、カリエスの発生を阻止する原因となっていることも確かです。一方、歯列や咬合に乱れがあるとこの自浄作用が阻害されることで不潔面が増加し、カリエスの発生をうながします。しかし不正咬合が直ちにカリエスの発生に結びつくというものでもありません。たとえ不正咬合があっても徹底的な口腔衛生習慣が守られている場合には口腔の健康が保たれる場合が多いといえます。

2)歯周疾患の誘因となりやすい

排列不正があって口腔清掃が十分に行われにくい場合に、その部の辺縁歯肉が炎症をおこすことは日常よく見られます。またある歯が歯列外とくに唇側に突出したような場合に、その部の歯肉の退縮や歯頸部歯根の露出をおこすこともまれではありません。咬合の不正によって特定の歯が対合歯と早期に接触したり、咬交に際して咬頭干渉を生じることもあって負担過重の原因となることがある。また過蓋咬合の場合、下顎前歯が上顎前歯の口蓋側歯肉に強く接触して炎症を生じることもあります。

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また歯の喪失で傾斜歯、挺出歯などが生じて接触点が乱れたり、歯列弓の連続性が失われることによって食物残渣の停滞を生じて、歯周疾患を誘発することもあります。また上顎前歯の突出で唇の閉塞が阻害されたり、口呼吸のために前歯歯肉部がたえず露出していると歯肉の乾燥によって炎症をひきおこすこともあります(図3-2)。

p10_01図10-01

しかし不正咬合が直ちに歯周疾患に結びつくと考えることは早計で、口腔衛生がよく守られまた全身的な健康が保たれている場合には、高度の不正咬合があっても歯周疾患に罹患せずにその機能を全うすることがあることは臨床上まれではありません。

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