3.矯正治療の目的とその目標-2

3.矯正治療の目的とその目標-2

1.不正咬合によってもたらされる障害について

3)発音に影響する

歯、歯槽部歯肉、唇、口蓋、舌などは調音器官として重要な役割をもっています。正しい発音には正しい歯列と咬合、舌を含めての口腔周囲筋の正しい機能が要求されます。しかし調音器官の形の異常がすぐに発音障害につながるというものでもなく、適応によって代償されることも多いです。しかし唇・口蓋裂のような場合には高度の発音障害がおこることが知られています。

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不正咬合と発音障害との結びつきをあげてみると、

(1)上顎前突の場合、上下唇を接して発音させる二唇音(p,m,b)がしばしば影響をうけ、代わりに下唇と上顎前歯との間の唇歯音でなされることが多い(図3-2)

(2)開咬や上顎前突の場合に舌尖の位置が正常の位置より前方位をとるためにlispingをおこすことがあり、外国語の習得に困難を与える(図3-3)

(3)高度の下顎前突の場合、下唇と上顎前歯との接触による唇歯音のfやVなどが影響をうけることがある

4)咀嚼機能、能率への影響がある

口腔の重要な機能である食物の摂取や咀嚼嚥下などは、正しい咬合や正しい咀嚼運動によって最大の能率をあげますが、不正咬合や異常な咬交が咀嚼能率を低下することがあります。また多数の乳歯が脱落している混合歯咬合でもその能率は下ります。この能率低下の問題は、咀嚼時の食物の粉砕実験による咀嚼能率の研究によってある程度証明されていますが、これを直ちに消化不良や栄養の低下や不健康に結びつけるのはむずかしい問題です。しかし口腔以外の消化器官に疾患や機能低下のある場合には、咀嚼能率の低下は好ましくない影響を与えることは大いに考えられます。

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