2.歯科矯正学の意義と定義

2.歯科矯正学の意義と定義

 歯科矯正学の揺藍時代には単に歯のならびかたを改善しようとする試みだけがなされたが、まもなく咬合という立場での改善が必要だということがわかるようになって、治療技術面でいろいろの試行錯誤がなされ、その面に矯正の焦点がおかれました。

 しかし歯や顎が装置によって勤いたり形を変えることができるのは、どういう機序によるものなのか、なぜ不正咬合がおこるのか、それは予防できないものかなどという疑問がおこり、それらに答えるべく基礎医学的な研究がなされるにいたって、ようやく学としての体系がととのえられるようになってきました。

 歯科矯正学はこうした基礎的な面(研究)と、治療技術的な面(技術)とがあくまで並行して発達しなければなりません。

 そこで歯科矯正学の定義や意義も時代とともに変化をしてきました。

 たとえばAngle(1907)は歯科矯正学は“不正咬合をなおすことである”と述べているのに対して,Noyes(1911)は“歯と顔の成長発育との関係を研究し、その成長の障害を矯正する学問である”と定義しています。

 さらに進んでTulley(1960)は“顔の形の遺伝的変異や成長発育を研究し、それが歯、咬合、その関連器官の機能にいかに影響するかを研究する歯科の一分科である”と定義しています。

 以上に加えて精神衛生や行動科学の面での効果を考えるとすれば、歯科矯正学の定義は次のように言いかえることができます。

 “歯科矯正学とは、歯、歯周組織、顎、さらにそれらを包含する顔の正常な成長発育を研究し、それら諸構造の不正な成長発育からひきおこされる不正咬合や顎の異常な関係を改善して、口顎系の正しい機能を営ましめ、同時に顔貌の改善をはかって、社会的、心理的に個人の福祉に寄与し、進んではそれら不正状態の発生を予防するための研究と技術とを含む歯科の一分科である。”

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