3.矯正治療の目的とその目標-3

3.矯正治療の目的とその目標-3

1.不正咬合によってもたらされる障害について

5)外傷にかかりやすくする

運動競技や交通事故によって口腔を中心とする外傷が増加する傾向があります。とくに上顎前歯の前突や捻転歯などのある場合には、外傷をうけて歯の破折をおこすことが多く、転倒や打撲をうけた際にそれら位置異常の歯によって唇、顎、舌などの軟組織が損傷をうけやすいという問題があります(図3-4)。

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6)歯槽突起や顎の成長発育に影響を与える

顎の発育は個体特有の発育のパターンのうえに行われるもので、歯の有無は歯槽突起の部分を除いてはあまり影響がありません。しかしある種の不正咬合によっては、歯槽突起ひいては顎の一部の成長発育に影響が及ぶことがあります。たとえば乳歯咬合、混合歯咬合の時期に前歯の反対咬合がある揚合、咬合時に上顎前歯は常に筋の機能力を舌側に向かってうけることになり、上顎前両歯部歯槽突起部や顎間骨の領域の前方成長が阻害されることがあるため注意が必要です。

また乳歯咬合や混合歯咬合期に臼歯部の交叉咬合が長期にわたっで放置された場合、顎の非対称的な成長がおこることがあります。また極度の過蓋咬合で下顎の前進が阻害され、その前後的成長が抑制されることもあり得ますが、このような顎の後天的な劣成長と遺伝的なそれとを区別することは困難です。一般に不正咬合が原因で顎の劣成長をおこすという因果関係を証明することはむずかしく、むしろ不正咬合の成立には、顎の成長発育の優劣が一義的な意義をもつものと解釈することが妥当であると考えられます。

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