不正咬合の原因(Etiology of maloclusion)3

不正咬合の原因(Etiology of maloclusion)3

1.歯学とくに矯正学領域における遺伝(Heredity)

歯学領域における遺伝の研究、とくに歯科医学者による研究の歴史はきわめて浅いものです。頭部顔面の奇形については古くから種々研究されており、中にはほとんど致命的な症状を示すものもあり、優生学上きわめて重要な問題を含んでいます。すなわち無脳、短少脳その他兎唇を伴う強度の口蓋裂などのことです。

しかし一方では、純歯科学的な領域においては致命的な障害をおこす奇形は考えられません。またとくに歯、歯列に関する部分においてはその形態ないし排列状態が私たちの考えるいわゆる正常な範囲より多少の逸脱があって、もしそれが家族的に実現したとしても、それは正常形質の遺伝と考えられる場合が多いことはその形態異常または不正が、日常生活を重大におびやかすようなものが少ないことによるものです。

しかし近代矯正学が確立されるまでは、不正咬合は遺伝によるものであると考えられていた傾向があるようです。不正咬合はそれほど家族的に現れるとも考えられるし、また治療の困難なものは親ゆずりのものとして仕方がないと考えた時代があったのかもしれません。
事実1800年から1900年にかけて多くの学者が遺伝ということを認めて原因を論じていますが、そのほとんどが実証の伴わない論議でした。

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