不正咬合の原因(Etiology of maloclusion)4

不正咬合の原因(Etiology of maloclusion)4

1.歯学とくに矯正学領域における遺伝(Heredity)

1900年代に入って遺伝学的研究も進歩してきた結果か、歯学とくに歯科矯正学上有名なイヌの交配実験が、StockardとJohnsonによって行われました。その実験では頭蓋型ならびに咬合関係の著しく異なった純血犬を交配し、第3代までの資料を得てその結果を発表しました。

この間不正咬合の遺伝について、賛否両論がありますがその代表的なものとして、賛成論者はCase、Cryer、Jackson、Goddard、Lischer、Lundstrom、SimonなどでありAngle、Dewey、Hellmanらは積極的に遺伝を認めていません。また日本においても遠藤らによる遺伝あるいは人類進化の結果としての退行的変化としての下顎骨変化の研究があり、つづいて岩垣、岡本、和田、根津らの研究があります。

岩垣は1937年から38年にかけて“歯列の遺伝に関する研究”を発表しました。これによると遺伝に関する文献は多いものの、いずれも精密遺伝学の立場から論じたものはなく、2、3双生児の研究があるのみであることに鑑み、下顎突出と上顎突出の遺伝を研究し、その遺伝形式を明らかにするため多数の家系の調査を行い、確率論的に分析しました。その結論として下顎突出については、

1)下顎突出は偶然性を除外して明らかに家族性である
2)下顎突出の本邦一般住民中における頻度は6%と推定される
3)下顎突出はMendel性単一性遺伝らしいが、理論値と実際値の間になおいくぶんの距りがある
4)この意味において、下顎突出をMendel性単一優性遺伝とすることもでき難い

また上顎突出の遺伝については、3,000家族の数理統計学的分析からその結論として、

1)上顎突出は明らかに家族性である
2)上顎突出の本邦住民中における頻度は約8%と推定される
3)上顎突出はMendel性単一優性遺伝らしいが、理論値と実際値との間にはなおいくぶんの距りがある

と述べています。

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