不正咬合の原因(Etiology of maloclusion)5

不正咬合の原因(Etiology of maloclusion)5

1.歯学とくに矯正学領域における遺伝(Heredity)

また岩垣は、歯の幅の左右差の問題からその遺伝と環境の影響を研究し、遺伝的影響ははなはだ大きく、それに比すると環境の影響は全変異の1/3程度であるとし、また左右2個ある歯が同一の遺伝子の影響を受けるという意味においても、また上下左右に同様な歯があることは遺伝研究の領域として歯科領域のおもしろいところであると述べています。

さらに1942年根津は“歯科殊に矯正歯科学における遺伝の研究”を発表しました。根津は三宅島神着村村民639名につき家族調査、直接診査ならびに口腔模型の調製によって、上顎正中離開、空陳歯弓対称性上顎中切歯近心捻転、過蓋咬合、上顎側切歯形態異常、切歯結節ならびに基底結節について遺伝型式を考察しています。

前述の例のほかにも浜野、江西、岡本らの報告は多数あります。岩垣、根津の研究で知られるように遺伝形式を明確にするには至っていませんが、少なくとも家族的に現れるということは諸氏の発表せられた家系図をみただけでも確言できるところです。

その他駒井の“日本人を主とした人間の遺伝”の中に歯科学とくに歯科矯正学に関係のある遺伝として次のようなものが採録されています。すなわち、兎唇、口蓋裂、歯齦肥大産、上顎前突、下顎前突、過蓋咬合、上顎正中離開、空隙歯弓、歯異形および欠如、歯の結節、上顎中切歯近心捻転、エナメル質減形成症などです(図7-2参照)。

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